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東京高等裁判所 昭和36年(ネ)1748号 判決 1962年12月26日

控訴人 高橋美子

被控訴人 オリオンタクシー株式会社

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人訴訟代理人は適式の呼出を受けながら当審において最初になすべき口頭弁論期日に出頭しないが、その陳述したものとみなされた控訴状の記載によれば、控訴の趣旨は、原判決を取り消す、被控訴人の請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とするとの判決を求めるというのであり、被控訴人訴訟代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述並びに証拠の提出、援用及び認否は、控訴人訴訟代理人が当審で陳述したものとみなされた準備書面によれげその主張に別紙記載のとおり附加すべきほかは、原判決事実摘示と同一であるから、その記載をここに引用する。

理由

一  控訴人の本案前の抗弁についての判断

控訴人は、まず、本訴は、その当事者及び請求を同一にする訴が中野簡易裁判所に係属している間に提起されたから、民事訴訟法第二百三十一条により却下を免れないと主張するけれども、公文書であるから真正に成立したものと認める甲第五号証によれば、当事者を同じくしかつ本訴請求と同じ請求を含む訴が中野簡易裁判所に係属していたけれども、そのうちの本訴と同一請求に係る部分は本件口頭弁論終結時までに取り下げられていることが明らかであり、ほかには本訴より先に提起された同一事件の係属を認めるべき証拠がないから、控訴人の右主張は採用することができない。

控訴人は、次に、被控訴会社の代表者として本訴を提起した藤本紀一には代表資格がないと主張する。しかしながら、公文書であるから真正に成立したものと認める甲第六号証及び第十三号証によれば、右藤本紀一は、昭和三十五年八月三日被控訴会社代表取締役に就任したが、同年九月二十六日附その頃告知の横浜地方裁判所横須賀支部昭和三十五年(ヨ)第六三号仮処分決定により代表取締役としての職務執行を停止されたこと、しかし、右仮処分決定に対してはその後異議が申し立てられ横浜地方裁判所において昭和三十五年(モ)第一四八〇号事件として審理された結果、昭和三十五年十一月十四日右仮処分決定を取り消す旨の仮執行宣言附判決が言い渡されたことが明らかであるから、結局、右藤本紀一は、右仮執行宣言附判決の言渡によりその後は再び被控訴会社代表取締役としての職務を行うことを得るに至つたものであるところ、同人がその後に被控訴会社代表者として被控訴人訴訟代理人両名に委任して本訴を提起したことは、本件記録上明白であるから、本訴提起については被控訴会社代表者の資格になんら欠けるところはない。もつとも、右甲第六号証及び原本が存在しかつ真正に成立したものと認める乙第一号証(写)によれば、右仮処分取消判決を言い渡した裁判官に対しては言渡期日より前に忌避の申立がなされたことが明らかであるけれども、そのために右判決及びこれに附せられている仮執行宣言が無効となるわけではなく、ただ上訴審において該忌避理由があつたことを主張し右判決の取消を求めうるにすぎないから、右の忌避申立があつたことによつて以上の結論は左右されない。また、右甲第六号証及び公文書であるから真正に成立したものと認める同第一号証によれば、右仮処分異議事件の本案につき裁判上の和解が成立したことを認めることができるけれども、後に本案につき判断するとおり右和解は無効であるから、右和解の成立をもつて前示結論を動かすこともできない。よつて、控訴人の右主張も採用の限りでない。

二  本案についての判断

当裁判所は、控訴人の当審における主張第一、二点につき次の判断を加えるほかは(その第三、四点については、前記一の後段において、これらに対する判断をも含めて説示した。)、原判決理由中の本案についての説示と同じ理由により、被控訴人の本訴請求を正当と判断するから、右説示の記載をここに引用する(なお、本件控訴状には被控訴会社代表者の表示として代表取締役職務代行者南慎一郎という記載があつて、右肩書を附した南慎一郎名義の委任状による訴訟代理人弁護士籠原秋二から昭和三十七年一月四日当裁判所に対し控訴人訴訟代理人の同意のある訴取下書が提出されているけれども、当裁判所の調査したところによれば、南慎一郎はその当時すでに被控訴会社代表取締役職務代行者の地位を失い、現在、冒頭表示のとおり中村義雄が被控訴会社代表取締役として代表資格を有することが明らかであるから、右取下書による訴取下は無効である。)。

控訴人の当審における主張第一点について。

控訴人は、代表取締役の職務執行停止及び代行者選任の仮処分決定には執行という要素が存しないからその執行停止ということもありえず、したがつて、横浜地方裁判所が昭和三十五年十月十日になした職務執行停止、代行者選任仮処分執行停止決定は無効であると主張する。思うに、この種仮処分においては給付義務の強制的実現という狭義の執行が問題とならないことは所論のとおりであるけれども、なお、その仮処分の効力として、これが存続する限り、従前の代表取締役の職務執行が当然停止せられその代行者として選任された者は該代表取締役が本来なしうべき職務執行の権限を当然取得し、その結果かかる代行者のなし又は受ける行為のみが当該職務の適法な執行行為となるという効力があることはいうまでもない。かかる仮処分にも以上のような効力がある以上、その効力を停止するということは理論上可能であり、狭義の執行力を有する仮処分において一定の要件のもとに民事訴訟法第五百十二条の準用により仮処分異議に伴う執行停止が認められているのと同様に、職務執行停止・代行者選任の仮処分についても、同条の準用によりその効力を停止する旨の決定をなすことはなんら違法でない。成立に争いのない甲第二号証によれば、横浜地方裁判所が同庁横須賀支部昭和三十五年(ヨ)第六三号職務執行停止・代行者選任の仮処分決定に対する異議事件に附随してなした控訴人主張の停止決定には、右仮処分の「執行」を異議事件の判決に至るまで停止する旨掲げられていることが明らかであるけれども、前示のとおりかかる仮処分には狭義の執行ということが全然ないのであるから、右の「執行」というのは広く該仮処分の効力と解すべく、したがつて、右停止決定の趣旨は該仮処分の効力を停止する旨のものであるとしなければならない。そうすると、右停止決定が狭義の執行停止決定であるとしてその効力を争うことは許されない。なお、右停止決定についての登記嘱託が却下されまた右決定以前に他の裁判所において同趣旨の停止申請が却下されたという事実があつたとしても、かような事実をもつて以上の結論を左右することはできない。よつて、控訴人の右主張は採用することができない。

同じく第二点について。

所論は前掲停止決定が無効であることを前提とするものであり、このことは控訴人の従前からの主張に徴し明らかであるところ、右停止決定が有効であることはすでに説示したところであるから、控訴人の右主張は採用することができない。

三  以上の次第で被控訴人の本訴請求を認容した原判決は正当であるから、民事訴訟法第三百八十四条、第九十五条条、第八十九条に従い、主文のとおり判決する。

(裁判官 小沢文雄 中田秀慧 賀集唱)

別紙

控訴人の主張

一、原審判決ハ横浜地方裁判所森文治判事ノ為シタ『仮処分ノ執行停止決定』ハ本件仮処分命令ニ対シテ有効デアリ、本件仮処分命令ニヨツテ選任セラレタ会社ノ代表取締役ノ職務ノ執行ハ停止セラル、モノデアルト言フ解釈ヲシテ居ルガ、コノ理論ハ実ニ根本的ニ誤ツテ居ル、森判事ノ決定ハ『仮処分ノ執行ハ本案判決ヲナスニ至ル迄之ヲ停止スル』ト記載シテ居ルガ申請人ガカカル仮処分ノ執行停止ヲ申請スルコトハ法律上誤リデアリ又森判事ガカカル決定ヲナシタコトモ亦誤リデアル。即チ

<1> 本件仮処分命令ハ民事訴訟法第七六〇条ノ規定ニヨリ決定セラレタモノデアルガ此ノ命令ハ仮ノ地位ヲ作ル仮処分命令デアツテ一定ノ法律関係又ハ一定ノ法律上ノ地位ヲ形成或ハ創設スル命令デアリ、ソレ自体『執行』ト言フ要素ハ全然存在シナイノデアル(法博吉川大二郎氏著判例保全処分第一五六頁参照)従ツテ斯ル仮処分命令ニツイテハ停止ス可キ『執行』ト言フモノガナイ。

本件仮処分命令ニヨツテ会社取締役職務代行者ニ選任セラレタモノガ其ノ職務ヲ『遂行』スルノハ『仮処分命令ノ執行』デハナクテ仮処分命令ニヨツテ創設セラレタル地位ニ於テ其ノ職務ヲ遂行シテ居ルニスギヌノデアル。

従ツテ森判事ノナシタ『仮処分ノ執行停止』ノ決定ハ仮処分命令ニヨツテ選任セラレタ職務代行者ノ権限ニヨル行為ノ効力ニ何ノ影響ヲ与フルモノデナイ、此ノ点原審判決ハ根本的ニ誤リヲ犯シテ居ル。

<2> 法務局登記課デハ(横浜地方法務局横須賀支局)森判事ガ此ノ仮処分ノ執行停止決定後即日横浜地方法務局横須賀支部ニ登記嘱託ヲシヨウトシテ文書提出ヲ為シタガ右法務局横須賀支局デハカカル仮処分ノ執行停止決定ヲ無意味、無効ナモノト判断シテ其ノ登記嘱託ヲ却下シタノデアリマス此事実ハ法務局登記課ニ於テモカカル『仮処分ノ執行停止』ガ有リ得ナイト言フ事ヲ知ツテ居ル事ヲ明ニシテ居リマス

<3> 本件ノ元ノ仮処分命令横浜地方裁判所横須賀支部ニ於テ本件控訴人高橋美子ガ得タモノデアリ、本件ニツイテ、本件ト同様ナ『仮処分ノ執行停止決定申請』ガ彼等被申請人等(本件ノ元ノ仮処分命令申請事件ノ被申請人等)カラ横須賀支部裁判所ニ申請サレタ事ガアル同裁判所ノ坂井支部長判事ハ『本件仮処分命令ニ民事訴訟法第七六〇条ノ規定ニヨリ仮ノ地位ヲ定メル仮処分命令デアリ一定ノ法律関係或ハ一定ノ法律上ノ地位ヲ定ムル仮処分命令デアル。即チ一定法律関係或ハ法律上一定ノ地位ヲ定ムル所謂創設又ハ形成ノ裁判デアルカラ『執行』ト言フ観念ハ容レル余地ガ無イ』ト言フ事ヲ理由トシテコノ執行停止決定ノ申請ヲ却下シテ居ル(昭和三十五年六月四日判決)

<4> 仮処分命令ノ変更或ハ取消シハ口頭弁論ヲ開キ相手方ノ意見ヲ述ブル機会ヲ与ヘズシテ之ヲ為スコトハ出来ナイコト民事訴訟法ニ明ニ明文ガアル。前記森判事ヤ谷田部弁護士等ガ慌テテ斯ル仮処分ノ執行停止ナドト言フ方法ヲ無理ニ案出シナクテモ、口頭弁論ヲ開イテ譬へ一度デ結審シ其ノ翌日判決シテモ良イカラ其ノ手続キヲ取ル可キデアツタ、然ルニ物ニ対スル仮処分ノ場合(民事訴訟法第七百五十五条ニヨル係争物件ニ対スル仮処分命令ノ場合)トヲ混同シテ慌テテカカル誤ツタ手続ヲナシタノハ笑止千万デアル、カカル諸点カラ考ヘテ見テモ『仮処分命令ノ執行停止決定』ガアツタカラ右仮処分命令ガ取消サレタト同様代表取締役職務代行ノ職務執行ノ権限ガ無クナルノデアルト解釈スル原審判決ハ無茶デアルト考ヘラレル、全ク法律ノ規定ヲ無視シテ御都合主義ニヨル判決ヲ為シタモノトシカ考ヘラレナイ。

二、次ギニ代表取締役職務代行者ニ対シテ前記森文治判事ガ送達シタ『解任ノ決定』ノ問題デアル。

森文治判事ハ前項ニ記載ノ如キ『仮処分ノ執行停止決定』ノ嘱託登記ガ横須賀法務局支局ニヨツテ却下サレルト大ニ慌テテ今度ハ会社代表取締役職務代行者南慎一郎氏(現弁護士元横浜地方検察庁横須賀支部長検事)ヲ不適任トシテ解任スル『決定』ヲ勝手ニナシ其ノ正本ヲ南慎一郎氏ニ送達シタ併シコノ『決定』ニ就テハ控訴人高橋美子(元仮処分命令申請ノ申請人)カラ此ノ森判事ノ為シタ『解任ノ決定』ハ仮処分命令ノ変更デアルカラ口頭弁論ヲ経ズシテ之ヲ為スコトハ違法デアルカラ無効デアル事ヲ理由トシテ東京高等裁判所ニ対シテ即時抗告ヲ提起シタ(東京高等裁判所昭和三十五年(ラ)第七九九号事件)トコロ東京高等裁判所ハ右抗告ハ理由アリトシテ森判事ノ為シタ南慎一郎弁護士ニ対スル代表取締役職務代行者ヲ解任スル旨ノ『決定』ヲ取消シテ抗告人(本件控訴人)ノ勝訴ノ決定ヲ為シタ。シカルトコロ被申請人側(元仮処分命令申請ノ被申請人等)カラ右高等裁判所ノ決定ニ対シテ最高裁判所ニ上告シタガ右上告ハ棄却サレ控訴人(元ノ仮処分命令ノ申請人)ノ勝訴ガ確定シタ。

以上ノ事実ニヨリ森判事ノ為シタ此ノ決定モ亦会社代表取締役職務代行者南慎一郎氏ノ権限ニ何ノ影響ヲ与フルモノデハナカツタノデアリマス、然ルニ原判決ハ此森判事ノ為シタ無効ノ解任決定ニヨリ南慎一郎氏ノ取締役職務代行者トシテノ権限ガ停止セラレタ様ナ事ヲ言ツテ居ル様デアルガカカル判断ガ誤謬デアル事ハ一点ノ疑モナイ。

三、次ギニ森判事忌避ノ申立ニツイテノ問題デアルガ

原審判決ハ民事訴訟法第四十二条ニハ『但シ緊急ヲ要スル場合ニハコノ限リニアラズ』トノ規定ガアルカラ緊急ヲ要シタトスレバ忌避ノ申立テガアリ其ノ忌避ノ裁判ガ確定シナイデモ訴訟行為ヲ進メテモ良イノデアルカラ森判事ガ忌避ノ申立テアルニ拘ラズ恰モ何モ無カツタト同様ノ態度デ判決ヲ宣告シタノハ違法デハナイト判断シテ居ル。

<1> シカシ横浜地方裁判所ノ判事連中ハ六法全書ノ明文ダケヲ読ンデ居ル素人デハナイ筈デアル此条文ニ対スル大審院判例ハ『民事訴訟法第四十二条ノ但書キ緊急ヲ要スル場合ハ此限リニアラズトノ規定ガアルノデ直グニ外国ニ行ツテ了ツテ帰ルヲ覚束ナイ証人ニツイテノ証人調べ等ノ程度ノ訴訟行為ハ緊急ヲ要スル場合ト言フ中ニ含マレルト解シテヨイガ判決少クトモ終局判決ヲ言ヒ渡ス事ハ如何ナル緊急ノ事情ガアツテモ絶対ニ為ス可キデハナイト解ス可キデアル』ト判示シテ居ル

地方裁判所裁判長ヲ為ス者ガカカル大審院ノ判例ヲ知ラナクテ良イカ、六法全書ノ表面明文ダケヲ読ンデ其ノ知識ノミデ判決ヲ言ヒ渡シテ良イカ。原審判決ヲ為シタ裁判官ガ此ノ大審院ノ判例ヲ知ツテ居テシカモ之ヲ無視シテ判例違反ノ判決ヲ故意デシタトスレバ、コレハ許ス可カラザル違法行為デアル、若シ知ラナイトスレバカカル程度ノ知識デハ当然裁判官ヲ辞ス可ベキデアル。要スルニカカル明ナ判例カラ見テモ森判事ノナシタ判決ハ無効デアル。

<2> 次ギニ『忌避ノ裁判ハ忌避ノ主張ガ成立シナカツタカラ仮リニ森判事ノ為シタ判決ガ無効デアツテモ其ノ無効ノ瑕疵ハ治癒セラレタ』ナドト原判決ハ言ツテ居ルガ此ノ言ヒ分ハ全然法律ヲ曲解シテ居ル

元来民事訴訟法第四十三条ノ規定ハ訴訟手続キニ関スル強行法規デアル。訴訟手続キノ関係者ノ勝手ナ解釈デ行ツタ狎レ合ヒ行為ヲ是認スルモノデハナイ。若シ原審判決ノ解釈ガ正シイトスレバ裁判官忌避ノ申立テガアツテモ、恰モ何モナイ時ト同ジ様ニ平気デ当該裁判官ハ訴訟手続ヲ進メテ判決ヲ下シ、其ノ判決ノ効力ハ忌避ノ裁判ノ結果ニヨツテ定メルコトガ合法的デアルト言フ事ニナル

併シ此民事訴訟法第四十二条ノ規定ハ疑有ル裁判官ニヨル訴訟手続キヲ甘受シナクテモヨイト言フ権利ヲ国民ニ与ヘタモノデ、従ツテ其ノ本訴ノ内容ガドウデアツテモ苟シクモ忌避ノ申立テガアツタ場合、右申立テヲ受ケタ裁判官ガ平気デ訴訟手続キヲ進行セシムルコトハ、カカル疑有ル裁判官ニヨツテ訴訟手続キヲ行ハシメナイト言フ国民ノ権利ヲ明ニ侵害スルモノデアル。スナハチ裁判官忌避ノ申立テガ合法的ニ受理セラレタ以上、何モ無カツタ時ト同様平気デ訴訟手続キヲ進メ判決ヲナシタ森判事ノ行為ハ断ジテ無効デアル。

四、更ニ本件仮処分命令ニ就テハ昭和三十五年十一月八日右仮処分ノ本訴ヲ内容トスル和解(裁判上ノ和解)ガ当事者間ニ成立シタノデ本件ノ如キ民事訴訟法第七百六十条ニヨル仮処分命令ハ右ノ如キ和解成立ト同時ニ右仮処分命令ハ消滅シテキル(法博吉川大二郎氏著判例保全処分第二九二頁参照)従ツテ右『仮処分命令ニ対スル異議ノ申立テ』ノ裁判ハ元ノ仮処分命令其ノモノガ消滅シテ居ルノデ右ノ如キ和解ノ成立ト共ニ終了、消滅ス可キデアル

而モ当時控訴人(右仮処分命令申請事件ノ申請人)カラ右ノ如キ和解成立ノ事実ヲ右『仮処分命令ニ対スル異議ノ申立テ』ノ事件ノ繋属裁判所ニ通知シ右裁判終了ノ手続キヲ要求シテ居ル。

以上ノ如キ事実ノ経過デアルノデカカル事実ヲ知悉シ乍ラ右和解成立後一週間ヲ経テ森文治判事ガ為シタ仮処分異議事件ノ判決ハ法律上無意味デアリ且亦無効デアル。

従ツテ会社代表取締役職務代行者南慎一郎氏ノ権限停止セラレタコトガ無イト言フコトガ唯一ノ真実デアル。

以上ノ諸点カラ言ツテモ原審判決ハ余リニモ法律ニ反シテ居ル、即チ原審判決ハ当然取消サレ且ツ被控訴人名ヲ以テ提起セラレタル本件訴訟ハ明ニ却下セラル可キデアル。

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